「好きな人がいたら、とっくに行動を起こしているはずよ。ずっと様子を見ているなんて、私のスタイルじゃないわ」
喬綿綿は「……」
この点については、反論のしようがなかった。
確かに彼は行動派だった。
そうでなければ、初めて会った日に結婚証明書を取得することもなかっただろう。
どうやら、彼は本当に沈柔のことを好きになったことはなかったようだ。
でも、自分が彼の好みのタイプだと?
喬綿綿にはあまり信じられなかった。
自信がないわけではなく、最初に墨夜司と一緒になったとき、二人は互いに好き合って一緒になったわけではなかったからだ。
彼女は喬宸のためだった。
彼は...あの奇妙な病気のためだった。
最初は、これはただの利害関係による結婚だった。
しかし徐々に、この互いの利益を優先した結婚に何か変化が生じてきたようだった。
彼女は最初の、いつでも離婚する準備ができている状態から、この結婚に徐々に期待を持つようになっていった。
また、最初の部外者としての心構えから、既婚者としての身分を本当に受け入れ、墨夜司というだんながいることを受け入れるようになっていった。
「他に聞きたいことは?」男性は長い指で愛情を込めて彼女の鼻先を軽くたたき、「何でも聞いていいよ。私が知らないこと以外は、全て答えるから」
彼の率直さに、喬綿綿は質問する意欲さえ失ってしまった。
先ほどの件について気になる以外は、本当に他に聞きたいことはなかった。
彼女は首を振って言った。「もう聞きたいことはないわ」
「本当に?」墨夜司はとても残念そうに、「もう一度考えてみて。本当に他に聞きたいことはない?」
「ひとつだけあるかも……」
「うん?」
「墨夜司、あなたは私のどこが好きなの?」喬綿綿は真剣に尋ねた。「私の美貌に魅了されたの?」
結局のところ、彼女には美貌以外に取り柄がなかった。
墨夜司は「……」
彼は突然、喬綿綿が先ほど沈柔に言った言葉を思い出した。
彼女は、彼の顔が理由で一緒になったと言っていた。
それが作り話だとわかっていても、この瞬間、彼は彼女の本当の気持ちを知りたくなった。
喬綿綿は一瞬驚いて「私が先に聞いたのに……」