「じゃあ、質問を変えますけど、お兄さん。お兄さんの奥さんと最後にしたのはいつですか?」
墨夜司は一瞬固まり、表情が少し不自然になった。しばらく沈黙した後、渋々と答えた。「あの夜以来、していない。」
言少卿は「……」
「いや、お兄さん、それはあまりにもダメすぎじゃないですか。お兄さんの奥さんと結婚したのに、まだ触れてないんですか?もしかして、お兄さんの奥さんが触らせてくれないんですか?」
墨夜司は「……」
こんな面目丸つぶれな事実を、認めるわけにはいかなかった。
「お兄さんの奥さん、本当に触らせてくれないんですか?」言少卿は思わず噴き出して笑った。「いや、お兄さんはイケメンで体も良いし、どれだけの女性が垂涎しているか分からないのに。普通の女性なら、お兄さんの求愛を断れないはずですよ?」
「お兄さんの奥さんが断るなんて?彼女が本当に断れるなんて?もしかして、あの夜のお兄さんの実力があまりにも酷くて、彼女にトラウマを与えてしまったんじゃ……」
墨夜司は眉をひそめ、いらいらと彼の言葉を遮った。「彼女はあの夜の事をまだ知らない。」
「……」
言少卿は完全に言葉を失った。
「いや、お兄さん、一体どうなってるんですか?」言少卿は混乱した様子で尋ねた。「つまり、彼女はあの夜一緒にいた人があなただと全く知らないんですか?彼女に話すつもりはないんですか?」
墨夜司の表情が少し変わり、沈黙した後で答えた。「彼女はあの夜の出来事を非常に嫌悪している。話したら、私のことを嫌いになるんじゃないかと怖い。」
「でも、ずっと隠し通すわけにはいかないでしょう。」
「分かっている。」
「はぁ、お兄さん、大変ですね。」言少卿はため息をついた。
墨夜司は目を細めた。「どういう意味だ?」
言少卿は再び軽くため息をつき、感慨深げに言った。「私が見るに、お兄さんの奥さんへの思いは、彼女のお兄さんへの思いをはるかに超えているようですね。お兄さんは彼女のことを大切に思いすぎるから、こんなにも気を遣っているんでしょう。」
「お兄さんの奥さんにあの件を話したら、彼女がお兄さんを嫌いになって、もしかしたら去っていくかもしれないと怖いんでしょう?」
墨夜司は黙り込んだ。
そうか、彼は怖がっていたのか。