第490章 あなたの義姉さんただ一人の女

彼は唇を固く結び、深みのある美しい顔に暗い影が差していた。沈黙したまま声を出さなかった。

「マジかよ、まさか、当たってるのか？」言少卿は驚きのあまり言葉を失った。

二番目の兄が黙っているなんて！

黙っているんだ！

こういう事に関して、どんな男でも黙っているはずがない。

二番目の兄のような男でさえも。

これは男のプライドに関わる問題だ。もし自分の推測が当たっていなければ、二番目の兄がこんなに長く黙っているはずがない。

もう面目は失ったのだから、墨夜司はこれ以上恥をかくことも気にならなかった。

彼は深く息を吸い、こわばった口元をほぐしながら、苦しそうな声で言った。「あの夜は普通だったんだ。でも今日は...10分も経たないうちに、彼女は私を嫌がっているようだった。」

「どういうことだと思う？」

言少卿は「...あの夜？お兄さん、初めての夜のことですか？もしかして、相手が違うから、パフォーマンスも違ったとか？お兄さんの奥さんのことが好きすぎて、つい興奮しすぎて、早くなってしまったとか...」

「そしてあの夜の女性には特に感情がなかったから...」

墨夜司は冷たい声で遮った。「最初から最後まで、お前の兄嫁一人だけだ。」

言少卿は一瞬呆然とした。「お兄さん、それはどういう意味ですか？つまり...あの夜の女性がお兄さんの奥さんだったってことですか？！」

「ああ。」

「！！！」

墨夜司は以前この件について話したことがなかった。

そのため言少卿は特に驚いた。

しかし驚きが過ぎると、それも理にかなっていると思えてきた。

二番目の兄はそんな軽い男ではない。

もっと早く気づくべきだった、お兄さんの奥さんがあの夜の女性だったということに。

兄は一人の女性に触れた後、他の女性に触れるような人ではない。

「でも、あの夜私たちが手配した人はお兄さんの奥さんじゃなかったはずです。しかも、その人は途中で事故に遭って病院に運ばれたはずです。お兄さんの奥さんは...どうやってあなたの部屋に現れたんですか？もしかして、他の誰かが手配したんですか？」

「そう言えば、私たちが手配した女の子が途中で事故に遭って良かったですね。もし彼女が来ていたら、お兄さんの奥さんと鉢合わせになっていたじゃないですか？そうなったら、まずかったでしょうね。」