第589章 10年前、あなたは……

これは宮澤離が初めて真剣に女性を見つめた時だった。

彼は今まで、喬綿綿がどんな顔をしているのか、本当によく見たことがなかった。

彼女に対して、ただ大まかな印象だけで、きれいな女性だということは知っていた。

しかし今回は、違った。

彼は突然、何度も無視してきたこの少女が、こんなにも美しいことに気づいた。

嬌嬌とした小柄な体つきで、妖精のように繊細な顔立ち。

宮澤離のような身分の者は、幼い頃から数え切れないほどの美女を見てきて、とっくに感動するという感覚を忘れていたはずだった。

しかし目の前の少女を見ていると、どういうわけか、急に心臓が早くなった。

この感覚は...もう長い間味わったことがなかった。

彼が覚えているのは、まだ幼かった頃、小学校2年生の時に、一度心臓が不規則に鼓動したことがあった。