これは宮澤離が初めて真剣に女性を見つめた時だった。
彼は今まで、喬綿綿がどんな顔をしているのか、本当によく見たことがなかった。
彼女に対して、ただ大まかな印象だけで、きれいな女性だということは知っていた。
しかし今回は、違った。
彼は突然、何度も無視してきたこの少女が、こんなにも美しいことに気づいた。
嬌嬌とした小柄な体つきで、妖精のように繊細な顔立ち。
宮澤離のような身分の者は、幼い頃から数え切れないほどの美女を見てきて、とっくに感動するという感覚を忘れていたはずだった。
しかし目の前の少女を見ていると、どういうわけか、急に心臓が早くなった。
この感覚は...もう長い間味わったことがなかった。
彼が覚えているのは、まだ幼かった頃、小学校2年生の時に、一度心臓が不規則に鼓動したことがあった。
その時、クラスの大人しくて優しい女の子に恋をしていた。
その女の子は彼の隣の席で、成績も良く、甘い声をしていて、性格も柔らかくて可愛らしかった。
その頃の彼は、学校で有名な暴れん坊だった。
気性が荒いだけでなく、成績も散々で、いつもトラブルを起こしていた。
その時クラスでは優等生が落ちこぼれを指導するというのが流行っていて、彼はその大人しい優等生と組まされた。
最初は、もちろん二人は相性が悪かった。
宮澤離は自分がその女の子を嫌っているとさえ思っていた。口うるさくて、うっとうしいと。
しかし...
後にその女の子は転校してしまった。
次の日学校に行くと、隣の空っぽの席を見て、彼女が転校したと聞いて、なぜか急に悲しくなった。
そしてずっとずっと後になって、やっと分かったのだ。実は自分はその女の子のことが好きだったのだと。
そして分かったのだ。あの何度もの不規則な心拍は、彼女を嫌っていたからではなかったと。
好きだったからだと。
このことを思い出し、宮澤離は突然目を見開いた。その瞬間、またあの不規則な心拍が現れた。
何かに驚いたかのように、顔に慌てた表情を浮かべ、急に一歩後ずさりした。
喬綿綿を見つめる目は、まるで幽霊でも見たかのような表情だった。
喬綿綿:「......」
彼女は手で自分の顔を触ってみた。
さっき、宮澤離は何を見たのだろう?
彼女の顔に、何か怖いものでもあったのだろうか?
「宮さま、あなた...」