喬綿綿は確かにその五折に心を動かされた。
少し迷った後、頷いて言った。「わかった、じゃあショッピングモールに行ってみましょう。」
彼女には特に買いたいものはなかった。
でも、喬宸に服や靴を買ってあげたいと思った。
そう言えば、墨夜司に何かプレゼントを買ったことがなかった。
そう考えると、ショッピングモールに行くべきかもしれない。
*
喬綿綿はショッピングモールに着くと、すぐにメンズフロアへ向かった。
墨夜司が普段着ている服は全てオーダーメイドで、ブランドものではないけれど、高級ブランドの紳士服よりもずっと高価だということを知っていた。
だから、安物で済ませるつもりはなかった。
彼女は数軒の高級ブランドメンズショップを回り、30分ほど品定めをした後、数萬円のネクタイと彼がいつも着ているような黒いシャツを選んだ。
会計の時。
墨夜司からもらったブラックカードを使ったとはいえ、一度に10万円も引き落とされるのを見て、少し胸が痛んだ。
墨夜司へのプレゼントを選び終わった後、スポーツショップへ行って、喬宸が好みそうなカジュアルな服も何着か買った。
魏徵が終始付き添い、喬綿綿が全ての買い物を終えてショッピングモールを出ようとした時、手に持った数個の袋を見て少し呆気にとられた。
全て…男性用のものだった。
喬綿綿自身のものは、一つも買っていなかった。
我慢できずに尋ねた。「若奥様、ご自分の物は買わないんですか?」
喬綿綿はエレベーターに乗り込んで、階数ボタンを押した。彼女は直接1階を押し、もう買い物を続けるつもりはないようだった。
「特に買いたいものがないの。」
彼女は真剣に考えて、手を広げて少し困ったような表情を見せた。「家には何でもあるから、本当に買いたいものがないの。あなたの墨社長は大げさすぎるわ。何でも山ほど買ってくれるから、服も靴もジュエリーも一年かけても使い切れないわ。」
彼女は突然気づいた。墨夜司と一緒になってから、ショッピングが好きだった趣味が無くなっていた。
服を買おうと思っても、クローゼットにタグ付きの高級ブランド服がたくさんあることを思い出す。
靴を買おうと思っても、シューズクローゼットにまだ履いていない靴がいっぱいあることを思い出す。
バッグを買おうと思っても、また思い出す……