第560章 宮家唯一の継承者

「酔っ払えばいいわ」沈柔はグラスの中の暗い青色の液体を軽く揺らしながら、嘲笑うように唇を歪めて言った。「今は酔いたいの。酔えば...もうこんなに苦しくならないわ。お酒、もう2杯頂戴」

彼女は一気にグラスの酒を飲み干すと、空になったグラスを掲げてバーテンダーにお酒を注文した。

バーテンダーは躊躇いの表情を浮かべた。

この沈お嬢様は並の身分ではない。

もし酔っ払って何か問題が起きたら、このバーは責任を負いきれない。

彼のような一介のバーテンダーには、なおさら責任が取れない。

バーテンダーが躊躇っている間に、沈柔は不満げに叫び出した。「お酒よ、早く持ってきて。何をぼんやりしているの?私にお金がないと思っているの?」

彼女はバッグから様々なカードが詰まった財布を取り出し、金色のカードを一枚抜き出すと、バンとカウンターに叩きつけた。「このカードにはたっぷりお金が入っているわ。お酒を持ってきて!」