第570章 いいえ、あなたは望んでいない

数分後。

喬綿綿は息を切らし、立つことさえできず、足がふらつきながら彼の胸に寄りかかっていた。

片手で、彼のシャツの襟をしっかりと掴んでいた。

この男のキスのテクニックは、ますます上手くなっていた。

毎回、彼女の体が溶けてしまうほどのキスをする。

「ベイビー」墨夜司は彼女の腫れた唇に指を当て、瞳が熱く暗くなり、少しかすれた声で「まだ具合が悪いの?僕は...」

「ダメ、そんなこと考えないで」

彼の言葉が終わる前に、喬綿綿は急いで彼の口を手で塞いだ。

「墨夜司、あと二日で撮影に入るの。この二日間は腳本を読む時間を確保しないと。今からシャワーを浴びて、それから腳本を読まなきゃ。あなたは...他のことでも探してやってて」

もう彼女に構わないで。

彼女はもう耐えられない。

数分だけなら我慢できる。