彼女の体の上を這う大きな手が一瞬止まった。
数秒後、抑制と自制の効いた声が再び響いた。「まだ体は辛いのか?」
実は、もうそれほど辛くはなかった。
半日ほど辛かっただけだ。
今はもうだいぶ良くなっていた。
しかし喬綿綿は、彼が暴れ出すとまた際限なく続くのが怖かったので、哀れっぽく頷いた。「うん、辛い。」
だから、許してくれないか。
明日起き上がれなくなるのは本当に嫌だった。
また一瞬の沈黙が訪れた。
喬綿綿は背後の男性の深い呼吸を聞いた。
彼は何かを必死に抑制しているようで、呼吸が荒く、吐息が彼女の首筋に熱く降り注いだ。
彼女の腰に回された腕が一瞬きつくなり、しばらくしてから、背後から男性の極度に掠れた声が聞こえた。「わかった、触らない。でも、自分で済ませたくない。」
喬綿綿が口を開こうとした瞬間、まだ一言も発する前に、男性に手を引かれ、ゆっくりとある場所へ導かれた。「ベイビー、手伝って。」
「……」
*
一時間後。
喬綿綿は顔を引き締め、怒った様子でベッドに横たわり、背を向けて、某人を完全に無視するつもりでいた。
「ベイビー、怒ってるの?」
大きなベッドの反対側で、男性は満足げな表情で寄り添い、手を伸ばして彼女を抱こうとした。
「パン」という音と共に、手が伸びた瞬間に払いのけられた。
「墨夜司、離れて、あなたなんか相手にしたくない。」甘く怒った声は、怒っているときでさえ、聞いていて可愛らしく感じられるだけだった。
墨夜司は当然、彼女が何に怒っているのかわかっていた。
彼女はずっと早く終わることを望んでいたのに、彼はそれを叶えてあげられなかった。それどころか、一時間以上も我慢して……
終わった時、彼女は泣きそうになっていた。
手が折れそうだと彼に言った。
彼が意地悪をして、彼女を疲れさせようとしたと言い、彼が悪い人で、彼女のことを全然大切にしていないと言った。
でも彼女は知らなかった。あの時、彼の足元に跪いていた彼女の姿があまりにも魅惑的だったことを。
早く終わらせる気になどなれなかった。
「ベイビー、手が痛いの?マッサージしてあげようか?」墨夜司は厚かましくもまた寄り添ってきた。
「構わないで、偽善者。」