彼女を見つめていた男性が、ゆっくりと手を伸ばし、彼女が地面に倒れそうになった瞬間、強い腕が彼女の腰に巻き付き、しっかりと支えて引き上げた。
喬綿綿は彼の腕の中に倒れ込んだ。
本能的に何かを掴もうとした両手は、先ほどから憧れていた胸筋に触れてしまった。
男性の体は熱を帯びていた。
彼女の手のひらが触れたのは、灼けるように熱い肌だった。
彼女が手を押し当てた時、頭上から低い呻き声が聞こえ、腰に回された腕が急に強く締め付けられた。
男性の呼吸が荒くなり始めた。
喬綿綿は感電したかのように、すぐに手を引っ込めた。
慌てて顔を上げると、男性の底知れない暗い瞳と目が合い、彼の目の奥に見覚えのある欲望の色が浮かんでいるのを見て、彼女の足は急に力が抜けた。
彼を押しのけようと手を伸ばした瞬間、両手はしっかりと握られてしまった。