第609章 司くんのためかどうか、あなたの心が知っている

彼女は、たとえ世界中が彼女を裏切っても、宮澤離だけは違うと思っていた。

彼は宮澤離なのだから。

一生彼女を大切にすると約束した男なのだから。

どうしてこんなことができるの。

もし彼までも彼女から離れていったら、耐えられない。

今の彼女には……彼しか残されていないのに。

「柔柔、落ち着いて。私はあなたを助けると約束したけど、今回の件は別の話だ。それに、勘違いしないで、彼女は司くんの女だ。私が彼女に何か思いを持つはずがない。」

「その時私はその場にいただけで、ただ状況を説明しただけだ。深く考えないで。」

このような説明は、沈柔の求めているものではなかった。

彼女は冷笑を浮かべた:「司くんに頼まれたの?」

「違う。」宮澤離は素早く答えた、「司くんは私に頼んでいない。」

「まだ彼女のことを好きじゃないって言うの?」沈柔の声はさらに鋭くなった、「好きじゃないなら、なぜ彼女を助けるの?あなたは今まで人の事に首を突っ込むような人じゃなかったはず。宮澤離、あなたがそうする時、私の気持ちを考えたことある?」