第609章 司くんのためかどうか、あなたの心が知っている

彼女は、たとえ世界中が彼女を裏切っても、宮澤離だけは違うと思っていた。

彼は宮澤離なのだから。

一生彼女を大切にすると約束した男なのだから。

どうしてこんなことができるの。

もし彼までも彼女から離れていったら、耐えられない。

今の彼女には……彼しか残されていないのに。

「柔柔、落ち着いて。私はあなたを助けると約束したけど、今回の件は別の話だ。それに、勘違いしないで、彼女は司くんの女だ。私が彼女に何か思いを持つはずがない。」

「その時私はその場にいただけで、ただ状況を説明しただけだ。深く考えないで。」

このような説明は、沈柔の求めているものではなかった。

彼女は冷笑を浮かべた:「司くんに頼まれたの?」

「違う。」宮澤離は素早く答えた、「司くんは私に頼んでいない。」

「まだ彼女のことを好きじゃないって言うの?」沈柔の声はさらに鋭くなった、「好きじゃないなら、なぜ彼女を助けるの?あなたは今まで人の事に首を突っ込むような人じゃなかったはず。宮澤離、あなたがそうする時、私の気持ちを考えたことある?」

「柔柔……」

「私が不機嫌になって怒ることを知っていながら、あなたはそうした。あなたの心の中で、喬綿綿は私より大切になったの?宮澤離、いつからそんなに臆病になったの?好きな人がいても、認めることができないなんて?司くんにこのことを知られて、絶交されるのが怖いの?」

「無理難題を言うな、沈柔。」宮澤離の声は沈んだ、「彼女は今、司くんの妻だ。これから彼女の評判が悪くなれば、司くんにとっていいことだと思うか?司くんに影響が及ばないと?」

「つまり、司くんのために助けたって言いたいの?」沈柔は冷笑した、「この言い訳は下手すぎじゃない?彼女と司くんは内緒で結婚したのよ、誰が彼らが結婚したことを知ってるの?」

「今は知らなくても、いずれ知ることになる。それに、司くんには内緒にする気なんてない。なぜ公表しないかは、彼ら自身しか知らない。」

「宮澤離、あなたの言葉を信じると思う?」沈柔の声はますます冷たくなった、「司くんのためかどうか、あなたの心はわかっているはず。もし以前私に約束したことを後悔しているなら、今でも撤回できる。私は人を強制したくない。」