第610章 私はあなたが好き

沈柔の顔色が微かに変わった。

宮澤離の言葉は途切れ途切れだったが、彼女にはその意味がよく分かっていた。

ずっと昔から、彼が自分のことを好きだということを知っていた。

ただ、彼女はずっと知らないふりをしていた。

彼もいくつかの理由で、ずっと告白できずにいた。

あるいは、彼が暗示を送ってきた時、分からないふりをしていた。

宮家と沈家は、門地が釣り合っている。

宮澤離の条件は、上流社會の同年代の中でも極めて良かった。

唯一の欠点は、彼が激情症を患っていることだった。

しかし彼は常に治療を続け、もう何年も発作を起こしていなかった。

彼が自分の気分をコントロールできさえすれば、激情症は発作を起こさない。

だから、あらゆる面から見て、宮澤離は理想的な結婚相手だった。

最も重要なのは、彼が本当に彼女のことを好きだということだ。