第611章 私を助けたから、私のことを好きになったの?

「どうしても言いたくないなら、言わないわ」

「あなたと司くんが一緒になれるなら、私は祝福するわ。でも今、司くんは既に結婚しているのに、あなたはまだ諦めきれない。もう、あなたが彼のことをどれだけ愛しているとか、どれだけ大切に思っているとか、聞きたくないわ」

「私に感情がないと思っているの?辛くないと思っているの?」

言い終わると、宮澤離は黙り込んだ。

沈柔も長い間黙っていた。

長年避けてきたことが、ついに暴かれてしまった。

「もういいよ、何も言わなかったことにしよう」数分後、宮澤離が先に口を開いた。「さっきの言葉は撤回する。聞かなかったことにしてくれ」

しかし、一度口に出した言葉を、聞かなかったことにするのは不可能だった。

それに、今回の沈柔は意図的に彼に言わせる機会を与えたのだ。