第615章 墨氏の広報は流石に強力だ

写真の中で、喬綿綿の肌は信じられないほど繊細だった。

近距離で撮影されているため、彼女の顔の産毛まで見えるのに、顔に一つの欠点も見つけることができなかった。

一目見ただけで、写真の彼女は化粧をしていないことが分かった。

完全な素顏だ。

しかし、その顔立ちは驚くほど精緻で、唇は赤く歯は白く、化粧をしている時よりも一層仙女のような雰囲気を醸し出していた。

お節介なネットユーザーが写真を投稿すると、以前素顏写真を見たいと騒いでいたユーザーは黙り込んでしまった。

この写真投稿は、アンチの口を封じただけでなく、その美貌に魅了された多くの顔フェチも引き寄せた。

投稿へのコメントは数万のいいねと数千の返信を集めた。

返信では、喬綿綿は神仙級の美貌だと感嘆し、皆が彼女のウェイボーアカウントを尋ね、フォローしたいと言っていた。

結果として、この所謂の黒歴史は意外にも喬綿綿に悪影響を与えるどころか、約十万人のファンを増やすことになった。

ファンが増える前は、フォロワーは三万人ほどだった。

増えた後は、約十四万人になった。

喬綿綿はウェイボーで自撮りを滅多に投稿せず、数百枚の写真の中で自撮りは三、四枚しかなかった。

これらの自撮り写真は、全てネットユーザーに見つけられた。

各投稿のコメント数は、数個や十数個から、数百個、千個へと増加した。

このコメント数は有名な俳優にとっては大したことではないかもしれないが、喬綿綿にとってはかなりの数だった。

ほぼ、人気インフルエンサーレベルのコメント数といえる。

オフィスの中で。

彼女は急増するファン数を見て、目を見開き、どうしていいか分からない様子だった。

三十分前まで、彼女は散々な非難を浴びていたのに。

今、ウェイボーでファンが増えている?

これは一体どういうことだろう?

彼女は何度も目をこすり、自分が見間違えているのか、幻覚を見ているのかと疑った。

「どうしたの?」彼女が目を見開いてスマートフォンの画面を見つめ、驚いた表情をしているのを見て、墨夜司は手を伸ばして彼女の頭を撫で、目を伏せてスマートフォンを覗き込んだ。

「私、ファンが増えたの、すごく...たくさん増えた。」

十数万のファン!!

この数字は、彼女のような端役の俳優にとっては、かなり驚異的な数字だった。