喬綿綿は煮卵を箸で摘んで一口かじり、答えた。「カタツムリ麺よ。すっごく美味しいの」
*
一方その頃。
まだ魏徵がテイクアウトを持ち帰るのを待っていた墨夜司は、喬綿綿から送られてきたメッセージを見て、すぐさま魏徵に電話をかけた。
「はい、墨社長」
「先ほどの注文はキャンセルだ。今すぐカタツムリ麺を一つ買って戻ってこい。今日の昼食はカタツムリ麺にする」
妻が超美味しいと言うものなら、きっと美味しいはずだ。
電話の向こうで、魏徵は彼の言葉が聞き取れなかったのか、それとも驚きのあまりなのか、しばらく声を出さなかった。
墨夜司の忍耐が限界に達しそうになった時、魏徵はようやく震える声で話し始めた。「墨社長、今おっしゃったのは、カタツムリ麺をお召し上がりになるということですか?」
「何か問題でもあるのか?手に入らないとは言わせないぞ」墨夜司の声は沈み、明らかな不機嫌さを示した。
「もちろんそうではありません」魏徵はすぐに答えた。「ただ、墨社長、本当にカタツムリ麺でよろしいのでしょうか?あれが何なのかご存知ですか?」
「どういう意味だ?」
「あの、味が少し独特で、墨社長が今まで召し上がったことがないなら、慣れないかもしれないと心配で...。それに、オフィスに長時間特殊な香りが漂うことになりますが...。墨社長...本当に召し上がるおつもりですか?」
30分後。
魏徵はカタツムリ麺の入った袋を持って戻ってきた。
オフィスのドアをノックし、許可を得てから中に入った。
中に入るなり、墨社長が携帯を手に、画面を食い入るように見つめているのが目に入った。
見れば分かる...誰かとチャットをしているのだ。
相手が誰なのかは、つま先で考えても分かるだろう。
そして、今日の墨社長のこの突然の異常な行動、カタツムリ麺を食べたいと言い出したのも、きっと今チャットしているその人物と関係があるに違いない。
彼は墨社長について何年も働いてきた。
墨社長がカタツムリ麺なんて食べるのを見たことは一度もない。
墨社長は、恐らくカタツムリ麺が何なのかも知らないだろう。
奥様の歩みに追いつこうとして、なかなか頑張っているものだ。
もし今度墨社長が臭豆腐や揚げ物を買ってこいと言っても、そんなに...驚かないかもしれない。
「墨社長、ご注文のカタツムリ麺です」