第658章 墨社長、それは難しいでしょう?

彼はオフィスを出た後、外に立ったまま動かなかった。

しばらくすれば、墨社長は必ず彼を呼び戻し、あのカタツムリ麺を捨てに行かせるだろうと思っていた。

彼はそのような心構えをしていた。

しかし、10分以上待っても、墨社長からの呼び出しはなかった。

魏徵が人生を疑い始めた時、ようやく彼の携帯が鳴った。

取り出して見ると、墨夜司からのメッセージで、デパートに行って服を一着買ってくるように言われていた。

*

30分後、魏徵は服を買って戻り、オフィスのドアをノックした。

中に入るなり、見覚えのある甘い臭いが漂ってきた。

そのとき。

休憩室のドアが開き、バスタオルを巻いた墨夜司が出てきて、彼に手を伸ばした。

魏徵はすぐに服の入った袋を渡した。

彼は横目でデスクの上の弁当箱を見ると、中のカタツムリ麺がほとんど残っていないことに気づき、再び人生を疑い始めた。