第659章 髭を剃った白玉笙

喬綿綿は素早く支度を済ませ、ナナと一緒に階下で朝食を食べた後、撮影スタッフと共に撮影現場へ向かう車に乗り込んだ。

塗一磊のような一線級の芸能人は、専用の移動車を持っている。

彼らと同じ車に乗る必要はない。

二線、三線級の芸能人も、基本的に専用車を持っている。

喬綿綿のような無名の新人だけが、スタッフと同じ車に乗ることになる。

スタッフのほとんどは男性だった。

突然、車内にこんなに可愛い女の子が乗り込んできたので、思わず二度見してしまい、若い男性スタッフの中には顔を赤らめる者もいた。

この業界で働いているので、美男美女には慣れているはずだった。

しかし、こんなに清楚で仙女のような女の子は、めったに見かけない。

しかも、この子は一目で分かる天然美人で、顔に手を加えていない。

整形した人は、どうしても不自然さが残るものだ。

例えば、今回のヒロイン黃一琳のように。

黃一琳は確かに美人だが、整形しているため、カメラ越しではよく見えても、実際に会うと少し不自然さが目立つ。

容姿だけで言えば、目の前のこの女の子は間違いなく黃一琳より美しい。

ただし、配役は顔だけで決めるわけではない。顔は一つの要素に過ぎず、最も重要な要素ではない。

黃一琳は顔が少し固いかもしれないが、演技力は優れているし、知名度も高い。

1時間後、撮影現場に到着した。

撮影現場は海辺にあり、喬綿綿が車を降りると、彼らの前に停まった専用車から、まず日傘を持った人が降り、次に水筒と袋を持った人が降りてきた。

「綿綿さん、あれは黃一琳ですよ」

ナナは最後に車から降りてきた女性を見て、目を輝かせながら小声で言った。「黃一琳は今最も人気のある小花ちゃんで、若くして映画祭の主演女優賞も獲得しています。同世代の芸能人の中では、とても優秀な存在です」

「彼女はとても綺麗だけど、なんだか今の顔は昔ほど自然じゃないような気がする」

「声を小さくして」

喬綿綿も黃一琳を見ながら、声を潜めて言った。「彼女たちに聞こえたら大変よ」

黃一琳は写真で見るほど美しくはなかった。

でも、十分に綺麗だった。

彼女は典型的な美人の顔立ちで、スタイルが良く、肌が白く、赤いボディコンドレスを着ていて、体のラインがよく分かった。