第713章 彼女の電話に出ない

本当かどうかに関わらず、彼はきっと気にするだろう。

白玉笙も振り向いて彼女を見た。「彼氏から連絡はあった?」

喬綿綿は「……ない」と答えた。

彼女は墨夜司がまだそのスキャンダルを見ていないのだろうと思った。

そうでなければ、彼の性格からして、こんなに冷静でいられるはずがない。電話もメッセージも一切寄越さないなんて。

白玉笙は同情的な目で彼女を見つめた。「あれだけ大きな噂になっているのに、知らないはずがない。知っているのに連絡してこないということは、どういう状況だと思う?」

喬綿綿は「……」

知っているのに連絡してこないなんて……怖い。

おそらく、相当怒っているのだろう。

そう考えると、喬綿綿の心臓が「ドキッ」と鳴り、急に不安になってきた。

すぐに携帯を取り出し、墨夜司に電話をかけた。

すぐに通じた。

これまで墨夜司に電話をかけると、いつも半端なコールか一回で出てくれていた。

でも今回は、長い間鳴り続けても、墨夜司は電話に出なかった。

これは喬綿綿が彼に電話をかけて、初めて出てくれなかった時だった。

初めてこんな状況に遭遇して、喬綿綿は少し慌てた。

どうしていいかわからなくなった。

白玉笙は彼女を横目で見た。「彼氏に電話したの?どう、出ない?」

喬綿綿は唇を噛みしめ、心配そうに「うん」と答えた。

「今まで電話をかけて、出なかったことはある?」

喬綿綿はその質問に、さらに不安になり、首を振った。「ない。私が電話すると、いつもすぐに出てくれるの」

「何か用事があって、携帯を持っていないんじゃない?」実は白玉笙は墨夜司が意図的に出なかったことを知っていた。さっき墨夜司からLINEが来ていたからだ。

だから携帯を持っていないという可能性はない。

おそらくあいつが怒って、拗ねて、彼女を無視しているんだろう。

でも、怒れば怒るほど、それだけ気にかけているということ。

きっとあいつも長くは拗ねていられないだろう。

「ありえない。彼は携帯を常に持ち歩いているの。私が今まで電話すると、いつもすぐに出てくれた。24時間携帯を持ち歩いて、24時間電源を入れていると言ってたわ。私が探せばいつでも連絡が取れるって」

喬綿綿は電話を切り、すぐにもう一度かけ直した。

今回も先ほどと同じで、長く鳴り続けても、向こうは出なかった。