おばあさまが彼女をかばっても、このような事態を気にしないはずがないでしょう。
もしおばあさまが喬綿綿に不満を持つようになれば、彼女の墨家次夫人の座は危うくなるでしょう。
そう考えると、沈柔は満足げな笑みを浮かべた。
彼女は次夫人の座を、しばらくの間、喬綿綿に譲っておくことにしよう。
どうせ、その座はいずれ自分のものになるのだから。
それに、敵が雲の上から転落する様子を見るのが大好きなのだ。
その瞬間は、きっと素晴らしい光景になるはず。
「墨おば、大丈夫ですよ。私のことは気にしないでください。お体を壊してしまうといけませんから」このような時こそ、沈柔は優しく思いやりのある一面を見せなければならなかった。「墨おばは私の実の母のような存在です。もしお体を壊してしまったら、私は心配で仕方ありません」
「やっぱり私の柔柔は思いやりがあって、私のことを大切に思ってくれる」墨奥様は沈柔の手を取り、自分が気に入ったこの嫁候補にますます満足し、墨夜司が今すぐにでも喬綿綿と離婚して沈柔と結婚してくれればと願わずにはいられなかった。
「墨おば、おばあさまのところへ行かれるなら、私はこれで失礼させていただきます。明日また来させていただきますね。でも、毎日このように伺って、墨おばはお煩わしくないでしょうか」
「まさか、私はあなたにずっと墨家にいてほしいくらいよ。もう帰らないでいてくれたらいいのに」墨奥様は少し間を置いて、笑いながら言った。「でもそれも近いことよ。あなたは必ず私の嫁になるのだから」
「墨おば……」沈柔は恥ずかしそうに呼びかけた。
墨奥様は目を細め、目に憎々しい光を宿らせた。「あの妖狐、必ず墨家から追い出してやるわ」
*
白玉笙が喬綿綿を訪ねた時、墨夜司がF市行きの飛行機に乗っているとは告げなかった。
そのため、ナナがノックの音を聞いて開けてみると、外に立っている男性を見て思わず驚きの声を上げた。
そして、大声で叫び始めた。「綿綿さん、綿綿さん……」
別の部屋で。
喬綿綿はナナの驚きの声に驚いて、すぐに部屋から飛び出してきた。何か起こったのかと思って。
寝室から出てみると、ナナがドアの前で動かずに立っているのが見えた。
彼女は少し戸惑い、興味深そうに近づいた。「ナナ、何をしているの」