第279章 土石流

「中は乾いてるわ」白箐箐はカーティスを柵の端に引っ張り、下を指差して言った。「下に誰かいるのが見える?変だわ、こんな大雨なのに外を歩いてる人がいるなんて」

カーティスは下を覗き込んで、「おや」と声を上げた。

雨の中にメスがいるとは。メスは濡れると病気になるんじゃなかったっけ?

......

萬獸城の近くには4つの小さな部族があり、城内の4大獸王からその4つの部族のしゅぞくを容易に推測できる。そう、それぞれ猿、ヒョウ、虎、狼だ。

萬獸城は最初、これら4つの部族の強者が集まって形成されたもので、その強さゆえに萬獸の規模にまで発展した。彼らは萬獸城の親戚のようなものだ。この関係があるため、萬獸城は当然彼らを無視するわけにはいかない。

4つの小部族を合わせても1000人に満たず、そのうちメスとオスは100人にも達しない。彼らは雨に濡れてずぶ濡れになり、オスの腕の中で震えていた。

猿王は即座に、自分を含む4人の王様に彼らを割り当てた。メスとオスは異族のオスにより多くの好奇心を持っているため、絆の力を高めるために、猿王は特に同族を避けるよう配慮した。

文森はどの族でもいいから連れて帰ろうと思っていたが、パーカーが隣で言った。「俺たちヒョウ族を選んでくれ。俺は彼らをよく知ってる」

「いいよ」

そういうわけで、文森はヒョウ族の獸人たちを引き連れることになった。

白箐箐は生理がもうすぐ終わるところで、きれいなズボンに履き替えて、「とんとんとん」と階段を駆け下りた。

「これは......?」

部屋中にびしょ濡れの獸人たちを見て、白箐箐は少し呆然とした。彼らを見ながら文森とパーカーに向かって歩き、「どうして彼らがここに来たの?萬獸城で家が水没したの?」

パーカーが話そうとしたその時、群衆の中からメスの声が響いた。「白箐箐!」

白箐箐は声のする方を見て、驚きの表情を浮かべた。「イヴ?」

イヴは濡れた毛布にくるまれ、小麦色の顔は血の気がなく、唇は凍えて紫色になっていた。彼女は白箐箐に微笑んで言った。「ラクダのコブの谷が土石流に襲われたの」

白箐箐は彼女に頷き、他の獸人たちを見回した。何人か見覚えのある顔を見つけ、パーカーに小声で尋ねた。「みんなラクダのコブの谷の人たち?」