第069章 罠にかかる

彼は唐朝の酒樽を大切にしていたが、自分はすでに端硯を手に入れたので、傅おじいさんと争うつもりはなかった。

「嚴じいさん、この酒樽の見積もりはいくらだ?」と傅おじいさんが尋ねた。

「博物館にあるものは、10年前に競売で30万で落札されたが、今なら10倍くらいになっているだろう。つまり、300万くらいだな」と嚴おじいさんが言った。

これは武氏女帝の御用品ではないが、宮中のものであり、品質も上等で、身分の高い人が使用していたものだ。だから、この価格はそれなりに高いのだ。

「よし、じゃあ300万だ。顧ちゃん、異議はないか?」と傅おじいさんが顾宁に尋ねた。

「ありません」と顾宁は答えた。

取引が成立したら、当然、送金することになる。契約書はなくてもいいだろう。

契約書の存在は万が一のためだけだし、彼らがそういう人たちではないと信じている。