第175章 冷さまがバラの花を贈る

彼が早く到着したのは顧寧にも理解できたが、この個室番号は顧寧を笑うか泣くかわからなくさせた。

これが偶然だとは思えず、間違いなく彼が意図的に手配したものだった。冷少霆がこんなことをするとは思わなかった。

しかし、彼の心遣いは認めざるを得なかった。

顧寧の運は悪くなく、出かけるとすぐにタクシーが拾えた。道中も渋滞はそれほどなく、6時40分には店に到着していた。

もちろん顧寧が店に着いて、ウェイターが出迎えに来た時、520号室と言うと、そのウェイターは明らかに驚いた様子を見せた。

冷少霆が店に来た時は、かなりの騒ぎになっていた。彼の屈強な体格、長い脚、妖艶なほど端正な顔立ちは、アイドルタレントよりも目を引いたからだ。

彼が520号室を予約し、いくつかの手配をしたことから、明らかに彼女とディナーを楽しむつもりだと思われた。