第420章 一戦を交える

「お前……」顾宁がわざとそう言っているのは分かっていたが、唐海峰は息が詰まりそうになるほど腹が立った。しかも、本当に顾宁が唐三彩らくだを捨ててしまうのではないかと心配になった。そうなったら大損害だ。

「分かった、分かった。受け取るよ、受け取ればいいんだろう？」唐海峰は降参した。

唐海峰が受け取ることを承諾すると、顾宁の表情はすぐに笑顔に変わった。

唐嘉鎧は少し呆然と顾宁を見つめ、後になって気づいた。顾宁が先ほどの演技をしていたことに。感心して言った。「妹、君の演技は本当に上手いね。女優になる気はない？僕がマネージャーになれるけど」

もちろん、これは冗談だった。

「ふざけるな」唐海峰は即座に唐嘉鎧を叱りつけた。「うちの顧ちゃんは社長になるのが似合っているんだ」

顾宁はただ微笑んで、何も言わなかった。

唐海峰は完全に唐三彩らくだに夢中になり、あちこち見回していた。一方、唐嘉鎧は顾宁とおしゃべりをしていた。

おしゃべりと言っても、ほとんどは唐嘉鎧が話していて、まるで十万個の「なぜ」のようだった。

「妹、勉強はどう？」

「妹、大学はどこを受けるつもり？」

「妹、海市で大学に行くのはどう？」

「妹、若いのにどうしてそんなに凄いの？格闘技も強いし、病気も治せるし、賭石もできるし、骨董品も分かるし、商売もできるし」

「妹、これからは僕も君について行こうかな」

「唐嘉鎧、いい加減にしろ！」唐海峰は頭痛がして爆発した。

唐海峰が怒鳴ったので、唐嘉鎧はようやく黙った。

「そうだ、お嬢ちゃん、帰る前に唐家に泊まっていったらどうだ？」唐海峰は顾宁に尋ねた。

「いいえ、おじいさま、私はホテルに泊まります」顾宁は丁寧に断った。彼女は唐家を訪ねてみたい気持ちはあったが、一時的に滞在する予定はなかった。適切ではないし、居心地も悪いだろう。

「妹、家には人もあまりいないし、部屋もたくさんあるから、ここに泊まっていけばいいよ！」唐嘉鎧は引き止めた。

「いいえ、他にも用事があるので、ここだと不便です」顾宁は再び断った。

顾宁がそこまで言うなら、唐海峰と唐嘉鎧もこれ以上強要できず、唐海峰は言った。「そうか。じゃあ、海市にいる間に時間があったら、このじいさんの相手をしに来てくれないか？」

顾宁は微笑んで、素直に答えた。「はい」