しかも、これは餘姿にとって百利あって一害なしだった。服飾デザインを学ぶ人は多く、才能のある人も大勢いる。有名なファッションデザイナーなら、顧寧が欲しければ簡単に手に入れられるのだから。
ただ、今たまたま、餘姿のデザインが彼女の目に留まっただけだった。
『風華エンターテインメント』設立後は、イベントにしても、テレビや映画の撮影にしても、衣装が必要になる。だから自社で立ち上げるのが一番便利だった。
一つのアパレル会社の下には複数のブランドがある。餘姿が同意すれば、『美貌』はドレスに特化し、彼女自身が管理することになる。
ドレス以外にも、顧寧は男女のカジュアルウェアや時代衣装も作りたかったが、それらは急ぐ必要はなかった。
顧寧が餘姿に高額な年俸ではなく株式を提供しようとしたのは、マネージャーが必要だったからだ。餘姿のことはよく知らなかったが、少なくとも曹文馨の友人なので、見知らぬ人よりは信頼できた。