第663章 もう希望はほとんどない

「翡翠美人ジュエリー?聞いたことないわ。小さなブランド?私、そんな小さなブランドには興味ないわ」馮雪琴は嫌そうな顔で言った。彼女は馮家のお嬢様で、使うのは国際的な一流ブランドばかり。当然、名前も聞いたことがないような小さなブランドなど眼中にないのだ。

高品質だろうが何だろうが、知名度がなければ、彼女の身分には相応しくないのだ。

「確かに新興ブランドだけど、ヒスイの品質がとても良いって聞いたわ。それに、この前雷家のパーティーで、姜麗華と唐雲蓉が身につけていたジュエリーも『翡色美人』のものだったのよ!」吳婧儀は言った。

「姜麗華と唐雲蓉が身につけていたのが『翡色美人』のジュエリー?」馮雪琴は驚いた様子で言った。彼女たちの身分で、そんな小さなブランドのものを買うなんて、おかしいじゃないか。

「そうよ!あなたが先に帰ったでしょう?後で聞いたんだけど、この『翡翠美人ジュエリー』は彼女たちの姪っ子が経営しているんですって。私、姜麗華と唐雲蓉の姪っ子って、もしかして唐雲帆の娘じゃないかって思ってるの。もしそうなら、唐雲帆も必ず来るはずよ」

吳婧儀はこの年齢でネットニュースなどを見る習慣がなかったため、ネット上で話題になっていることを知らなかった。知っていれば、誰が経営しているのかすぐにわかったはずだ。

これを聞いて、馮雪琴の表情が固まり、顔色が一気に暗くなった。吳婧儀の言う通り、その可能性は十分にありそうだった。

「本当かどうか、明日見に行けばわかるでしょう。もし本当なら、あの女も必ずいるはず。どんな顔をしているのか、見てみたいわ」後のことは言わなかったが。

馮雪琴は冷たく言った。後半の言葉は当然口に出さなかった。

二人はそれほど長居せずに、すぐに立ち去った。

車に乗ったばかりのとき、馮雪琴の携帯が鳴った。劉興奇からの電話だった。

劉興奇は馮雪琴に、以前行ったマンションに来るように言った。

昨日、馮雪琴は若い男性と約束していたが、あまり快感を感じられず、常に劉興奇のことを考えてしまっていた。だから今夜は劉興奇を誘ったのだ。

馮雪琴から誘いを受けた劉興奇は当然喜んだ。さっきまで付き合いがあって、それが終わってから馮雪琴に連絡したのだった。