第713章 互いに疑う

彼らは本当に唐家には唐雲帆と唐海峰がいなければダメだと思っているのか?確かに唐雲航と唐雲蓉はビジネスには詳しくないが、唐嘉陽がいるではないか!

彼は若く、経験は浅いかもしれないが、経験というのは積み重ねていくものではないか?

今、唐皇グループを引き継ぐとして、彼一人の力では確かに何もできないだろうが、全明楷と厳玮倫が補佐してくれるではないか!

全明楷と厳玮倫のどちらも、ここにいる誰よりもその地位に相応しい能力を持っている。唐雲帆と共に唐皇グループを今日まで発展させてきた人たちが、どうして劣るということがあろうか?

しかも、多くの仕事は彼らが処理してきたのだ!

だから、たとえ唐家に適任者がいなくなったとしても、唐家は全明楷か厳玮倫のどちらかを選んで経営を任せるだろう。他人には任せないはずだ。

今回も、黒幕を暴くためでなければ、唐德明たちがここでとやかく言う機会などなかったはずだ。

さて、次はこの提携案件について話し合うことになる。

この提携案件は、唐皇グループ傘下のテクノロジー企業とY国のGテクノロジー社が共同で、すべてのウイルスに対応できる安全システムを開発するというものだ。

しかし、発表しようとした矢先に、別の開発チームが先に発表してしまった。

そのため、Y国のGテクノロジー社は唐皇グループ側に情報漏洩者がいると疑い、唐皇グループ側はY国のGテクノロジー社側に情報漏洩者がいると疑っている。

確かに、開発技術は彼らだけのものではなく、他のチームが開発しても不思議ではないが、問題は相手のセキュリティシステムが彼らのものとほぼ同じだということだ。そのため、相手が彼らのプログラムを盗用したのではないかと考えているのだ。

しかも、相手が作ったシステムは彼らのものより若干完成度が高いのだ。

しかし何にせよ、相手が既に発表してしまった以上、彼らは発表できない。そうすれば盗作とみなされ、しかも相手のものより優れていないため、市場での評価も得られないだろう。

しかし、この開発をこのまま中止すれば、双方とも巨額の損失を被ることになる。

情報漏洩者がいるのなら、当然その者に損失を賠償させることになるが、その者に賠償能力がある場合はまだいい。賠償できない場合は、会社が賠償することになる。