第712章 実力のある者が、その職に就くべし

「文馨とはどうなの?進展はある?」邢宸は気にかけて尋ねた。『翡翠美人ジュエリー』のオープン動画で曹文馨が邢北の隣にいるのを見たので、二人の間に何かあるのではないかと思い、聞いてみたのだ。

「まだだ。何かあったら教えるよ」邢北は答えた。曹文馨の承諾を得る前に、この件について多くを語りたくなかった。うまくいかなかった場合、誰にとってもよくないからだ。

「わかった」邢宸は応じて、電話を切った。

邢北は別荘の方を一目見て、車を発進させた。

別荘の中で、曹文馨は入ってから他のことはせず、窓辺に来て邢北の車を見ていた。彼が去るのを見届けてから、やっと窓辺を離れた。

曹文馨はあのキスを思い出さずにはいられず、頬が熱くなり、心臓も不規則に早鐘を打ち始めた。

この夜、曹文馨は眠れなかった。邢北も眠れなかった。二人はお互いのことを考えていた。