この苦難の時期を経て、顧慶祥の性格はだいぶ丸くなり、再び顾蔓に会った時には、あの嫌な傲慢さは完全に消え、むしろ謙虚な態度になっていた。
この間にあまりにも多くの出来事があったため、顧慶祥はもはや以前のような輝かしい姿ではなく、人としてずいぶん老け込み、疲れた様子で、毎日会社の仕事に追われていた。
しかし、会社の状況は好転せず、彼はもう持ちこたえられなくなっていた。
今となっては、顾蔓にお金を借りることもできない。相手が貸してくれないことを知っているからだ。それに、たとえお金があっても、取引が来なければ、そのお金もすぐに底をつくだろう。
顾蔓も顧慶祥の近況を尋ねることはなかった。彼がどう暮らしているかなど、気にかける必要もないと思っていたからだ。
顧慶祥は林麗娟を見たとき、眉をひそめたが、嫌悪感は見せなかった。
「麗娟······」顧慶祥が呼びかけたが、林麗娟は何の反応も示さなかった。自分の名前さえ分からなくなっていたからだ。
「彼女は今、誰のことも覚えていないし、自分の名前も分からないの。まずは服を買いに行って、それから食事をして、食べ終わったら病院に連れて行きましょう」と顾蔓が言った。
「ああ」顧慶祥は応じ、林麗娟を支えようとしたが、それが林麗娟を驚かせ、急いで顾蔓の後ろに隠れてしまった。
顧慶祥は仕方なく、その場を離れ、顾蔓たちも後に続いた。
車に乗り込み、ショッピングモールへと向かった。
道中、顾蔓と顧慶祥は会話を交わさなかった。林麗娟に何が起きたのかについては、顧慶祥が尋ねることになった。
一行はショッピングモールに到着し、林麗娟の服を買いに行った。
今の顧慶祥にはあまりお金がないので、普通の店に行くことにした。
顧慶祥がいなければ、顾蔓が林麗娟の分を支払うつもりだったが、顧慶祥がいるので当然彼が支払うことになった。
ただし、この後の食事については、顾蔓は支払うことに抵抗はなかった。
「おや!これは林夫人じゃありませんか?前はこんな格下の店を見下していたのに、今はこんな格下の店で服を見ているんですね!」
林麗娟が試着室から出てきたところに、嘲笑うような女性の声が聞こえてきた。
しかし林麗娟は何の反応も示さなかった。自分に向けられた言葉だと分からなかったからだ。