040 大規模なオーディション

週末に選ばれたにもかかわらず、人気スター顧星澤が選考現場に直接来ると聞いて、彼の熱狂的なファンたちが名を慕って集まってきた。他の場所から飛行機に乗ってやってきた忠実なファンも少なくなかった。

予想外の人気爆発に制作チームは困惑し、秩序を維持するためにボディーガードを呼んだものの、勢いのあるファンの大群を抑えきれなかった。

広大な環宇ビルは一時、人の波で溢れかえり、応援の横断幕が会社のビルの外の木の幹やフェンスに掛けられた。

環宇エンターテインメント全体が、まるで顧星澤のファン軍団に踏み潰されたかのようだった。

環宇エンターテインメントの立派な正門には、数台の豪華な車が停まっていた。

その中の1台のマネージャー車の中で、シンプルな服装をした3人の男性が正門の賑やかな人の流れを観察していた。その多くは若くて可愛らしい女子学生だった。

これらはみなオーディションに参加するために急いでやってきた人たちで、一人一人が派手に着飾り、オーディションで監督の注目を最大限に集めようとしていた。

「林監督！私が言うのもなんですが、これらの女子学生たちの容姿は悪くないですよ！あそこの白いドレスを着ている子を見てください。なかなか味がありますね。原作の尹夏純の初々しさが少し感じられませんか？」

「うんうん！あそこの黒色のドレスを着ている子もね。この子はよく準備してきたようだね。きっと原作の脚本をよく読み込んだんだろう。小説で尹夏純が初めて学校の舞台に上がるとき、まさにこんな黒いドレスを着ていたんだよね。」

「あの娘の容姿は悪くないけど、でも私は...身長が少し足りないように思うんだけど...」

小さなアシスタントは窗に寄りかかって正門の方向を東西に見渡し、まるで昔の天皇の後宮選びの小総管のように、つぶやきながら手で指し示していた。振り返って白いシャツを着た男性を見ると、彼はただ頭を下げて応募者の書類を見ていて、2インチのカラー写真を一目で十行ほど走り読みしていたが、あまり興味がなさそうだった。

「つまらない。」突然、林鳳天が一言呟き、名簿を脇に投げ捨てて、もう見る気もなさそうだった。

「林監督？どうしたんですか？」

林鳳天は頭を下げてタバコを一本くわえ、そっけない口調で言った。「私の求める人がいない。」