154 そんなにモテようとするのが好きなの

彼は彼女の腰に手を添え、胸に引き寄せた。顔を近づけ、目を伏せながら、軽く彼女の唇に触れた。

  雲詩詩は思わず後ずさりしようとしたが、腰に回された腕が後退を許さず、さらに彼女を引き寄せた。

  男の妖艶な顔が間近に迫り、鼻先が触れ合うほどになった。薄い唇が彼女の唇をかすかに撫で、くすぐったく温かく、これ以上ないほど親密だった。

  彼は少し赤ワインを飲んだようで、吐息に軽い香りが漂っていた。彼の目を見つめると、少し酔った様子で、目尻が細められ、艶やかな光を放っていたが、その意味は不明瞭で、独特の魅力があった。

  この男は生まれながらにして王者の資質を持っていた。何気ない仕草や一瞥で、人々を従わせる力があった。

  雲詩詩は拳を握りしめ、指先まで震えているのを感じた。全身の神経が緊張で切れそうだった。