327 正式契約

環宇と契約しているたくさんのタレントの中で、君君の資質は群を抜いていた。

彼女はロックシンガーで、自分のバンドを持ち、デビューして5年。個性的な性格と際立つ容姿、そして素晴らしい歌唱力で、驚くほど忠実なファンを持ち、人気は高止まりで、常に環宇の重点育成対象だった。

芸能界では、歌が上手ければ演技もという流れで、季臨は彼女に映像業界に進出し、俳優に転身してほしいと計画していた。

音楽界では、ロックシンガーの人気は長続きしない。転身しなければ、長年かけて築き上げた人気もいつかは衰えてしまう日が来るだろう。

最終的な方針として、季臨は顧星澤を自分の管理下に置き、雲詩詩と君君を秦舟に任せることにした。

言うまでもなく、この点については既に秦舟と確認済みだった。

秦舟は快く同意した。

豊富な資源を持っている彼にとって、二人の新人を担当することはそれほど大きな問題ではなかった。

顧星澤は今や人気絶頂で、自身のレコード会社を設立しようとしており、会社は彼を重点的に支援する予定だ。秦舟というベテランも、これで功成り名を遂げたと言えるだろう。

雲詩詩は少し身に余る光栄を感じていた。

新人である彼女にとって、デビューと同時に環宇と契約し、さらにトップマネージャーの担当になれるというのは、芸能界では多くの人が夢見ても叶わない幸運なことだった。

季臨は秦舟を呼び入れた。

秦舟は新たな契約書を数部持ってきて、彼女たちに一つずつ記入させた。

「これからは、あなたたちは私の担当よ」秦舟は満足げに彼女たちを見つめ、心の中で大いに興奮していた。

季臨が言った：「秦舟、本当によく考えたのか？」

「よく考えました」秦舟は落ち着いた様子で、端正な顔に余裕を漂わせていた。「星澤に今日まで付き添い、私は全力を尽くしてきました。今や星澤は成功を収め、私も新たな挑戦をしたいと思います」

そう言って、彼は意味深な笑みを浮かべた。「男というものは、征服欲が強いものですからね——女性にも仕事にも」

この日以降、秦舟が顧星澤との契約を解除したというニュースが広まった。

環宇会社の内部は上から下まで驚きの渦に包まれた。まさに大きな爆弾のような知らせで、喜ぶ者もいれば心配する者もいた。