384 血……?(2)

こっそりと目を上げて彼の優雅な横顔を眺める。高い鼻筋、薄い唇、傲慢な顎、少し開いたシャツの襟元から覗く魅惑的な鎖骨。

まるで古代ギリシャの壁画から抜け出してきた神のよう。一筆一画が神業のような描写で、その美しさは人を圧倒する!

彼女は心の中で認めざるを得なかった。もし彼の悪質な行為を除けば、彼に対して、きっと本当にときめいてしまうかもしれない……

うっとりと見つめていると、慕雅哲は彼女の真っ直ぐな視線に気付き、眉を寄せて目を伏せ、表情は厳しかった。

「どうした?」

雲詩詩はハッとして、すぐに我に返り、顔を背けて彼を見なくなった。

心の中にほんの少しの甘い気持ちが広がった!

相変わらず冷たい表情を浮かべているけれど、記憶の中で、こんなに優しくしてくれた人も、気遣ってくれた人もいなかったような気がする。