第397話 私が主役で、あなたは脇役(2)

顏冰清は唇の端を引き攣らせながら、彼女をしばらく見つめた後、冷笑いを浮かべて言った。「面白いわね！雲詩詩、覚えておきなさい！」

そう言うと、彼女は傲慢に冷たく鼻を鳴らし、高級なシャネルのハンドバッグを持ち上げ、雲詩詩の肩に強く当たりながら立ち去った。

その瞬間、メイクルームの空気が凍りついたようになった。

特に丁寧と沐夕は、顔を見合わせ、顔色が青ざめていた。

雲詩詩は落ち着いた様子で化粧台の前に座り、淡々と尋ねた。「丁先生、私のメイクは簡単かもしれませんが、やはりあなたはプロですから、私の技術はあなたには及びません。でも、少しはプロ意識を見せていただけませんか？来て、メイクをしてください。」

沐夕は目を丸くして驚いた。

以前、秦舟から雲詩詩は争いを好まない性格だと聞いていたのに。

全然争いを好まないどころじゃない……

でも、それが気に入った。

顏冰清の恨みを買ってしまったことが心配ではあったが。

しかし、芸能界とはそういうものだ。表立った争いも陰での駆け引きも、いつかは必ず経験することだ。

雲詩詩が演じる尹夏純の場面は、ほとんどが学生時代のもので、メイクは清純で清らかさを重視した。丁寧は透明感のあるナチュラルメイクを施し、淡いピンクのチークを入れて完成させた。

大がかりな作業ではなかったが、それでも1時間かかった。

ナチュラルメイクは簡単そうに聞こえるが、実は技術が最も重要だ。ファンデーションが厚すぎても薄すぎてもダメで、バランスが最も難しい。

でも、これは早い方だった。

丁寧は羨ましそうに言った。「彼女は素が良すぎる。本当に美しい。林監督の作品に出られるなら、きっとブレイクするわ！」

沐夕は一目見て、その美しさに息を呑み、すぐに彼女を撮影スタジオへと連れて行った。

すべての準備は整っていた。

林鳳天は性急な性格で、時計を見ながらイライラした様子で尋ねた。「人はどうした？メイクは終わったのか？」

「はい、来ました！」

沐夕は急いで走ってきて、「林監督、ご覧ください。ちょうど良いタイミングです。詩詩のメイクが終わりました。いつ始めましょうか？」

「人は？まず見せてくれ。」と林鳳天は言った。

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、雲詩詩がゆっくりとスタジオに入ってきた。