396 私が主役で、あなたは脇役(1)

メイクルームには美容師が一人しかおらず、顏冰清は明らかに雲詩詩を困らせようとしていた。

沐夕は雲詩詩に先に席に着くように言い、そして顏冰清の方へ歩み寄った。

「冰清ねえさん、丁ちゃんに詩詩のメイクを先にしてもらえませんか？」

顏冰清は傲慢に目を転がした。「なぜ？」

「だって、詩詩が最初に出番なんです。準備ができていないと、林監督がまた怒り出しますよ。」

顏冰清は冷笑して、静かに言った。「彼女のメイクはそんなに簡単なのに、自分でできないの？」

そう言いながら、丁寧に目配せをした。「そうでしょう、丁ちゃん？」

丁寧は一瞬戸惑い、顏冰清の視線を感じて身震いし、同調して言った。「はい、主演のメイクは簡単なナチュラルメイクで、アイシャドウも必要ありません。ファンデーションを二度塗りして、ハイライトで肌を明るくするだけです。冰清ねえさんのメイクの方が難しいので、私は先に冰清ねえさんのメイクをさせていただきます！」

彼女は普通の美容師に過ぎず、顏冰清のような人物に逆らう勇気なんてありはしない。

沐夕は我慢できずに口を開こうとしたが、肩を誰かに押さえられた。

驚いて振り返ると、雲詩詩が微笑みながら彼女を後ろに引き、優雅な笑顔で顏冰清に言った。「冰清ねえさん、あなたは私の先輩です。規則通りなら、あなたが先で私が後、あなたを立てるべきですね。」

この言葉は確かに心地よく聞こえた。

顏冰清の表情が少し和らぎ、この新人は物分かりがいいと密かに思った。

しかし次の瞬間、雲詩詩は淡々と続けた。「でも、私は新人ですが、この作品では主演です。今日のメイクテストは私が一番目なので、丁先生は私のメイクを先にすべきです。」

顏冰清の笑顔が凍りついた。

「何ですって？」

後ろの丁寧も呆然とし、沐夕も息をするのも忘れるほど驚いた。

「私が言ったことは、冰清ねえさんにはよく聞こえたはずです。私が主役で、あなたは脇役です。今日は、私が先です。」

雲詩詩の口調は穏やかで、声は優しかったが、一言一言をはっきりと、毅然として発音した。

顏冰清はそれを聞いて、胸の中で爆発しそうになり、呼吸も乱れ、怒りを含んだ表情で立ち上がり、彼女の前まで歩み寄った。「あなたは、私が脇役で、あなたが主役だから、先にあなたのメイクをすべきだと？」