395 人を見下す犬の目（3）

「この楽屋は二人の主演者用です。でも、顏冰清さんがここを使いたいと言って、顧スーパースターはしばらく来そうにないし、断るのも良くないと思って……」

沐夕は不機嫌そうに言った。「これは主演者の楽屋ですよ。このお嬢様を他の楽屋に行かせればいいじゃないですか？」

背後から、突然顏冰清の高慢で挑発的な声が聞こえた。「何？私がここを使うのがいけないの？」

沐夕は不愉快な表情で振り返り、彼女を一瞥してから、すぐに職業的な適切な笑顔を浮かべた。「冰清ねえさん、だめというわけじゃないんです……実は……うちの詩詩は最初の衣装合わせ写真を撮るので、急いでメイクをしなければならないんです……」

「わかったわ。彼女は新人だけど、私も無理なことは言わないわ。私と同じ部屋を使わせてあげましょう」顏冰清は鏡を冷たく見つめながら、彼女を見ることもなく言い放った。その言葉には恩着せがましい意味が込められていた。

まるで楽屋の半分を雲詩詩に譲るのが、彼女の特別な恩恵であるかのように！

まるでこの楽屋が誰のものか、発言権が彼女にあるかのように。

沐夕は怒りで笑顔が固まってしまった。

この楽屋は明らかに詩詩のために用意されたものだった。

今や彼女が楽屋を奪い取って、まるで施しをするかのような態度を取るなんて、なんて厚かましいの？

明らかに意図的な嫌がらせでしょう！

顏冰清は今回、良く言えばフレンドリー出演だが、実際には女主役の一人として内定されていた。

投資家の一人が彼女を重視し、売り出そうとしていた。

しかし、林鳳天は彼女を気に入らなかった。

演技力がなく、顔立ちは生まれつき美しいものの、大人びた雰囲気が強すぎて、少女らしい清純さを全く表現できなかった。

一言で言えば、年増に見える。

そのため、林鳳天に容赦なく切られた。

この顏冰清は、きっと林鳳天が新人を選んだことを見て、恨みを抱き、密かに嫉妬しているのだ！

しかし、心の中ではそう思っていても、沐夕は彼女と対立する勇気はなく、ぶっきらぼうに「スタイリストは？早くメイクを始めましょう！」と言った。

その言葉が終わるや否や、眼鏡をかけた若い女性が急いで扉を開けて入ってきた。手には重そうなバッグを持っており、おそらく撮影班のスタイリストだろう。