450 苦難の中で真心が見える

「大丈夫...か？」彼は静かに声を出し、慎重に、そして先ほどのような冷たく疎遠な口調ではなくなっていた。

奕辰くんは彼の態度の変化に心が躍ったが、表情には出さず、ただ震える声に表れていた：「うん、大丈夫だよ！」

「肘が脱臼してるけど、痛くないか？」

きっと痛いはずだ。

こんなに長く耐えてきて、神経はきっと麻痺していて、そして今、脱臼まで......

奕辰くんは急いで彼を安心させようと言った：「心配しないで、慣れてるから。練習の時はよくあることだから。」

子供の世界は純粋だ。おそらく以前は、奕辰くんに対して、慕雅哲に対して、雲天佑は様々な敵意を抱いていた。この二人が自分の大切に守っている小さな世界に入り込んで、ママの愛を奪っていくのではないかと恐れていたのだ！

しかし、苦難の時こそ真心が見える。

彼の心は決して無情でも冷血でもなかった！

まして血のつながりがあるのだから、今、奕辰くんの怪我をした腕を見ると、どれほど心が痛むことか！

雲天佑は李翰林に電話をかけ、観覧車を動かすように指示した。李翰林はすぐに無線機を取り、制御室に機械の起動を要求した。

観覧車がゆっくりと動き出した。

二人のちびっ子ちゃんが向かい合って座っていた。二人とも相当な惨めな姿だった！髪は乱れ、冷や汗で頬が濡れ、顔は赤くなっていたが、目が合うと、まるで生まれつきの息の合った様子で、二人とも微かに笑みを浮かべた。

「君は僕が想像していたより凄いね！」雲天佑は唇を噛んで、珍しく褒め言葉を口にした。

彼は滅多に人を褒めない！

今回は、心からの言葉だった。

もし奕辰くんの体力が優れていなくて、あれほど長く持ちこたえられなかったら、自分を待ち受けていたものが何だったのか、本当に分からない。

この一言の褒め言葉で、奕辰くんの顔が恥ずかしそうに赤くなり、何度か口を開きかけたが、言いかけては止めてしまった。

これは明らかに照れていた。

観覧車がゆっくりと地上に降りてきて、ゴンドラから次々と潮のように乗客が流れ出てきた。警備員たちは絶え間なく群衆を誘導していた。

雲天佑と奕辰くんが腕を支え合って出てきた時、雲詩詩はすぐに制止を振り切って走ってきた。

奕辰くんは雲詩詩を見て、胸が震え、そして温かい流れが込み上げてきた。