449 お兄ちゃん、信じてる

奕辰くんは彼の最後の一言を無視し、安全バーを必死に掴みながら、体を少し下に傾けて、雲天佑が両手で彼の腕を掴めるようにした。

彼らの動きに、下で見守っていた警備員たちが驚きの声を上げた。

彼らは全員専門的な訓練を受けた警備員で、人体の限界についてもよく知っており、このような動作が奕辰くんにとって極めて危険であることを熟知していた！

雲詩詩は胸を締め付けられるような思いで見つめ、心臓の鼓動は更に速くなり、絶え間なく苦しみ続けていた！

雲天佑はすぐに奕辰くんの腕を掴んだ。握力は奕辰くんと比べものにならないほど弱かったが、極限状況の中で、人間の本能的な生存意志が最大限に発揮された！

彼は歯を食いしばり、奕辰くんの腕を掴んで言った：「しっかり掴めたよ！」

「本当に大丈夫！？」奕辰くんは明らかに彼の握力不足を心配していた。手を離したら、佑佑は掴めずに落ちてしまう。

「うん、安全ベルトを引っ張って！」

「わかった！でも無理だったら必ず言ってね！」

奕辰くんはそう言いながら、安全ベルトに手を伸ばした。

何度か空振りした。

しかし彼は諦めなかった。一刻を争う状況で、この一秒一秒が雲天佑にとって大きな試練であることを知っていた。そして、ついに多大な努力の末、安全ベルトを掴むことができた。

安全ベルトを手首に何重にも巻き付け、しっかりと握りしめた奕辰くんは振り返って言った：「掴めたよ。今から引き上げるから、絶対に僕の腕を離さないで！」

「うん！」雲天佑は一瞬黙った後、固く誓うように言った。「君ならできると知ってる。信じてる！」

「よし！」奕辰くんは微かに微笑み、力を込めて彼を引き上げ始めた！

彼は歯を食いしばり、体内の最後の力を振り絞って低く唸り、一瞬で雲天佑を車両内に引き上げた。

引き上げる際、彼の肘関節が「ガクッ」という音を立てて脱臼した。

そして雲天佑の左手首も力が入りすぎて、同様に脱臼してしまった。

二人のちびっ子ちゃんは車両内に転がり込み、雲天佑は素早く別の安全ベルトを掴んで自分の肩に掛け、体勢を安定させた。

下からは衝撃的な歓声が上がった！

雲詩詩はしばらく呆然と、まだ信じられないような様子で目を見開いていた！

二人のちびっ子が自力で助かったなんて！

なんてこった、これは奇跡だわ！