525 "不倫現場

なんて賢い子なんだろう！

彼の前では強がって冷たい態度をとっているのに、雲詩詩の前ではなぜこんなに可愛らしい姿になるの？

雲詩詩がやっとのことでストラップを彼のボタンから外したとき、雲天佑の甘えた呼びかけを聞いて、思わず口を開きかけたが、慌てて手で口を押さえた。

二人は目を合わせた。

雲詩詩は慕雅哲に向かって静かにするよう手振りをした：「シーッ——」

今や、慕雅哲でさえ、二人の行為が普通の愛情表現ではなく、不倫しているかのように感じていた。

まるで浮気現場を押さえられたようだ。

雲詩詩は上着を羽織り、周りを見回してから床までの窓に向かい、窓を開けた。窓の外は中庭で、彼女は振り返って慕雅哲に目配せし、声を潜めて急かした：「早く行って！」

しかし慕雅哲は突然むっとして、冷たく鼻を鳴らした：「なぜ私が行かなければならないんだ？」

雲詩詩は呆然と立ち尽くした：「佑佑が戻ってきたの、先に行って、ね？」

「行かないよ。まだキスもハグもしていないのに、行けって言われても行かないよ？」慕雅哲は優雅に壁にもたれながら、佑佑の口調を真似て言った。

雲詩詩の唇の端が痙攣した：「ふざけないで！」

「ふざけてなんかいない」慕雅哲は冷たく言った。

「あなたまで子供みたい！！」雲詩詩は怒りで笑ってしまった。

父子二人とも同じような性格！？

本当に遺伝なの？

ごねるときの態度が、父子そっくりだ。

ドアの外で、雲天佑はトイレに行って戻ってきた。ドアの隙間から明かりが漏れているのを見て、もともと雲詩詩が戻ってきたときに手を洗って、電気を消し忘れていたのだが、ちびくんは彼女がシャワーを浴びているのだと思い、ドアに寄りかかって甘えた声で聞いた：「ママ、シャワー浴びてるの？」

しばらくの間、返事はなかった。

「じゃあママ、入るよ！」ちびっ子ちゃんは目を手で覆い、慎重にドアノブを回して中に入った。

バスタブの方向に指の隙間から覗き見たが、誰もいない？

ちびっ子ちゃんは少し落胆して腕を組み、プンプンと鼻を鳴らした。

ママはどこに隠れたの？

外出したの？

外出するなら携帯電話を持っていくはずだよね？

彼はトイレを出て、ママの寝室の方を見た。

ドアの隙間から、部屋の中は電気が付いていないのに人影が動くのが見えた。