524 チューもハグもほしい！

「佑佑が帰ってきたんじゃない？」

二人は目を合わせた。

すると、外からパタパタと足音が聞こえてきた。

そして、佑佑の楽しげな足音と、無邪気な声が聞こえてきた。「ばかママ、佑佑が帰ってきたよ！」

「パッ」という音とともに、ちびくんがリビングの電気をつけたようだ。

そして「あれ？」と声を上げ、トントントンと階段を上がって彼女を探しに行った。

「ママ～～～～」

慕雅哲の目尻がピクリと動いた。このガキめ、なぜ早く帰ってこないで、遅く帰ってこないで、こんなタイミングで帰ってくるんだ。

雲詩詩も困り果てていた。頭の中が真っ白になり、返事もできず、急いで上着を探した。

暗闇の中で、彼が服をどこに投げたのか見えなかった。

電気もつけられず、物音を立てるのが怖かった。

雲詩詩は本当に死にそうなほど恥ずかしかった。

なぜ……

この感じは、不倫現場を押さえられそうな感じ！

「服はどこ！」

雲詩詩はちびくんが階段を上がっている間に、急いで立ち上がって服を探し、慌てて慕雅哲を押しのけた。しかし、あまりにも慌てていたため、電気をつけることもできず、暗闇の中でつまずいて、慕雅哲の顎にぶつかってしまった。

「うっ……」

二人は思いがけず、体がぶつかり合った。

慕雅哲は痛みを感じながら、体のバランスを崩し、後ろに倒れかけた。

そして雲詩詩のキャミソールが慕雅哲のワイシャツのボタンに引っかかり、彼の体に密着したまま倒れてしまった。

「ドン」という鈍い音とともに、二人は床に倒れた。

慕雅哲も内心呆れて、小声で「バカ女」とつぶやいた。

「私のせいにするの？！」

「先に電気をつければいいだろう？」

「えっ！電気をつけたら彼が来たらどうするの？」

あっ、先にドアに鍵をかけなきゃ！

雲詩詩は急いで立ち上がろうとしたが、服のキャミソールが男のワイシャツのボタンに絡まったままだということに全く気付いていなかった。立ち上がろうとした瞬間、力学の作用で、また慕雅哲の胸の上に倒れてしまった。

「……！」

男は彼女の知能に感動せざるを得なかった。

「あなたの服！」

「どういう意味？」

「ボタンに引っかかってるんだ！」男は歯を食いしばった。

雲詩詩は顔を赤らめ、すぐに手を伸ばして外そうとしたが、なかなか外れなかった。