第540章 ちょっと不当だと思う!

飛天獎がどれほど権威のある正規の賞であるか、内部の論争を表に出すことなど決してありえないと、唐寧はいわゆる業界関係者からのリークなど信じていなかった。

歴代の飛天獎は激しい競争を経て決まってきたが、主催者側は毎回、評価の激しさを収めるために手を打ってきた。しかし、なぜ彼女の時になって、大衆の前で判断されることになったのか?このように、賞を取るにしても取らないにしても、批判されることになる。

取らなければ、あれほど大騒ぎしたのに結局手ぶらで帰ることになり、まさに笑い者だと言われる。

取れば、背後の大樹の庇護があったからこそだと言われ、手にした賞にも本当の価値はないと言われる。

しかし、このようなジレンマは本当に偶然なのだろうか?

光が強ければ強いほど、その影は濃くなる。この道理を、唐寧が知らないわけではない。

相手が誰であれ、どんな目的があれ、誰かが仕掛けてくれば、彼女は恐れずに反撃する。

……

深夜、カイユエ・ディージン。

二階の書斎の灯りがまだそっと灯っており、墨霆はまだパソコンの前に座ってキーボードを叩いていた。唐寧はお腹を抱えたまま、ドアの隙間から夫の姿を見つめていた。考えるまでもなく、きっと彼女のことで忙しいのだろう。

しかし、彼女はドアを開けて入ることはしなかった。なぜなら、彼女がトップモデルの地位を捨てて女優になることを決意した時から、墨霆は心の中で彼女に対して負い目を感じていることを知っていたからだ。

今回の件も、明らかに誰かが意図的に海瑞を、彼を挑発しているのだ!

「外は寒いから、部屋に戻って寝なさい」墨霆は顔を上げることなく、しかし唐寧がドアの外にいることを知っていた。唐寧は少し驚いて、軽く微笑んだ。

「最近眠くてしょうがないの。もう随分と夫の凛々しい姿を見ていないわ」

墨霆は顔を上げ、深く息を吸い、そして唐寧に手招きした。「早く来なさい……」

唐寧はドアを開けて墨霆の側に歩み寄り、自然に彼の腕の中に収まった。「あなた……」

「ん?」

「安心して。今回は、あなたの広報対応に口を出さないわ。私も飛天獎をとても重視しているから。賞を取れなくても構わないなんて言えないわ。そこまで大度ではないの」