第638章 お前を認めてやってるんだ

この二日間、樺文鳳は彼女が墨霆の「サンプル」だと思っているものを病院の鑑定科に持って行き、墨おとうさんの前で、鑑定科のスタッフに対して、必ずすべての過程を撮影し、サンプルがカメラから離れることがないようにと要求した。

「墨夫人、そのご要望は、申し訳ありませんが、お応えできかねます!」鑑定科のスタッフは困った様子で言った。

樺文鳳の決意を見て、墨おとうさんは追い詰められた母親の姿だと思い、潔白を取り戻そうとする彼女の気持ちに深く同情した。

「文鳳、本当に辛い思いをさせてしまって」墨おとうさんは慰めた。「こんな不肖の息子が生まれるなら、あの時お前が堕ろすのを止めるべきではなかった!」

「今じゃこんなに無法者になって、蛇蝎のような嫁まで迎えて」

そう考えると、墨おとうさんは我慢できなくなり、携帯を取り出して墨おじいさんに電話をかけ、唐寧のこの期間の「悪質な」行為をすべて余すことなく伝えた:「お父さん、私と文鳳は、今やこの女にこんな目に遭わされています。もしお父さんが出てきて指導してくれないなら、墨家はこの女の手によって滅びてしまいます」

墨おじいさんは痴呆でもなければ、耳が聞こえないわけでも目が見えないわけでもない。この期間、墨家で何が起こったのか、直接目撃してはいないものの...心の中ではよく分かっていた。特に先日グローバルプラザの大画面に映し出されたあの件について。

唐寧がどんな人物なのか、彼の心の中では誰よりもよく分かっていた。

「DNAの鑑定結果はいつ出るんだ?」おじいさんは暫く黙った後、本来なら関わりたくなかったが...事態がここまで来てしまった以上、彼が出て行って一言言わないわけにもいかないようだった。

「病院の話では、早くて明後日だそうです」

「じゃあ明後日だな。その時、私もカイユエ・ディージンに行ってみよう」

唐寧にも、そして曾孫にも会っていないな、と墨おじいさんは思った。

墨おとうさんは全くおじいさんの心中を知らず、おじいさんはまだ自分という息子を守ってくれると思っていた。しかし、おじいさんは以前、唐寧がどんな性格なのかを理解するために、かなりの労力を費やしていたのだ。たとえ実の息子であっても、おじいさんは正しいと思う側だけを助ける。そうでなければ、両方とも親族なのだから、この勘定は決着がつかないだろう。