第213章 やはり陸景禮を選ぼう!

寧夕は頭痛がして眉間を揉んだ。「人命にかかわることだから、やはり行ってみるべきね!もしかしたら知り合いかもしれないし!でも坊ちゃんをどうしよう……」

言葉が口から出る前に、坊ちゃんはすでに彼女をきつく抱きしめ、小さな顔を彼女の首筋に埋めて、やっと帰ってきてくれたのに、絶対に離れたくないという表情を浮かべていた。

坊ちゃんがどうしても行かせてくれないので、寧夕は彼を連れて行くしかなかった。

坊ちゃんが一緒に行くなら、陸霆驍ももちろん一緒に行くことになった。

陸景禮は、自ら進んで運転を買って出た。

江牧野は陸家の人々がこんなに厚かましく全員行くのを見て、即座に何も言わずに車に乗り込んだ。

結局、全員が一緒に行くことになった……

寧夕も呆れた。

病院に着くと、入り口には数台の救急車が停まっていて、医療スタッフが忙しく行き来し、担架の上には頭を怪我して血まみれの患者がいっぱいで、大きな交通事故があったようだった。

寧夕は坊ちゃんの目を覆って、この血なまぐさい光景を見せないようにし、優しく諭した。「坊や、今は病院の中が混乱してるの。車の中で私を待っていてくれる?」

坊ちゃんは彼女の腰を抱きしめ、見捨てられたかのように可哀想そうに小さな頭を垂れ、すでに眠くてうとうとしているのに、まだ必死に眠らないようにしていた。

寧夕は身をかがめて彼の小さな頬にキスをした。「坊や、いい子にして。聞き分けてね!すぐに戻ってくるから!」

キスをされた坊ちゃんはようやく少し生気を取り戻し、こくりと頷いた。

「じゃあ、先に行ってくるわね!」寧夕は皆に挨拶した。

陸霆驍:「付き添うよ。」

江牧野:「俺も行く!」

二人がほぼ同時に声を上げた。

寧夕:「……」

「一人で行くのは危険だ。」陸霆驍は眉をひそめた。

江牧野は鼻を鳴らし、もっともらしく言った。「俺はただ誰なのか気になるだけだ!」

寧夕はますます頭が痛くなった。陸霆驍を見て、また江牧野を見て、最後に視線を陸景禮に向けた。

陸景禮は無邪気に目をぱちくりさせた。お姉さんは何で彼を見るんだろう?