第272章 完全にアウトだ

陸霆驍が撮影現場から戻ってきた後、陸景禮はもう終わりだと悟った。

　　天が落ちてくるような事態だった。

　　兄の様子は、かつて会社を引き継いだ時よりもさらに恐ろしかった。あの時は父が突然重病に倒れ、何度か生死の境をさまよい、親族のあちこちから後継者の座を虎視眈々と狙われ、兄弟を離間させようとする者まで現れ、一族全体が血で血を洗う状況だった……

　　当時の陸霆驍はまるで感情のない煞神のようで、迅速かつ厳しい手段で六親を顧みず、一手に陸氏一族を覆すほどの内乱を鎮圧した……

　　今の陸霆驍は、眠りから覚めた野獣のようで、全身が危険な殺気に包まれていた。

　　陸景禮は慰めようと思ったが、陸霆驍は帰宅するなり家中の使用人を追い払い、自分一人で別荘に閉じこもり、最高権限を設定して、自分以外誰も入れないようにしていた。

　　陸景禮は何か起こるのではないかと心配で、家が爆発するのではないかとさえ恐れ、ずっと外で不安そうにうろついていた。

　　一晩中待ち続けた。

　　陸霆驍はまだ出てこなかった。

　　そして、さらに悪い事態が起こった……

　　早朝、陸おじいさまが直接電話をかけてきて、すぐに本邸に戻るよう命じた。その口調は非常に不機嫌だった。

　　陸家の本邸。

　　リビングには陸おじいさまと陸おばあさまがいて、二人ともソファに座り、表情は異様に厳しかった。

　　陸景禮の頭の中で警報器がピーピーと鳴り響き、ほぼ即座に何が起こったのか察した。

　　案の定、次の瞬間、陸おじいさまは分厚い資料の束を彼に投げつけた。「この不埒者め、これはどういうことか説明してみろ！」

　　白いA4用紙と写真が床に散らばった。

　　陸景禮はちらりと目を通した。すべて寧夕の写真と資料だった。

　　やはり、寧夕の身分が露呈したのだ。

　　ああ、なぜこんなタイミングで……

　　まさに泣きっ面に蜂だ！

　　陸おばあさまは心痛と怒りの表情で次男を見つめ、「景禮、本当に失望したわ！他のことならどんなに暴れても構わないけど、これはあなたの兄さんの一生の大事よ。どうしてこんなに軽率なことができるの？兄さんと一緒になって私たちを騙すなんて！」