第280章 母なし子は草のようだ

陸景禮はすぐに驚愕した。まずい……

　　兄貴は江家を潰すつもりなのか？

　　本当に六親を見捨てるのか？！

　　たとえ江家とは血のつながりがなくても、江牧野のお母さんとの関係があるじゃないか。両親はその故人の娘をとても可愛がっているのに！

　　しかし、陸景禮はよく考えてみると、何かおかしいと感じた。

　　兄貴の性格からすれば、江家や江牧野に何かをするつもりなら、とっくに行動していたはずだ。まさか3日も経ってから動くなんてありえない……

　　一体どういう状況なんだ？

　　「用事か？」

　　空気の中に突然氷のような声が響いた。陸景禮は寒気を感じて我に返り、急いで口を開いた。「ありますよ、ありますとも。さっきお父さんお母さんから電話がありまして、坊ちゃんの体調が悪いそうで、急いで帰ってきてほしいと言っていました！」

　　陸霆驍は指先のタバコを消すと、新しいのに火をつけた。「車を用意しろ」

　　「はい、かしこまりました！」

　　陸景禮は素早く部屋を出て行き、心の中でほっとした。

　　よかった、兄貴は六親不認になっても息子まで見捨てるようなことはしないんだ……

　　陸家の本邸。

　　陸おばあさまは玄関の外で焦りながら行ったり来たりしていたが、陸霆驍を見るなり心の支えを見つけたかのように駆け寄ってきた。「霆驍さん、やっと帰ってきたのね！早く坊ちゃんを見てあげて！」

　　陸崇山は不満げな顔をしていた。「やっと帰ってくるのか。坊ちゃんが病気になったのに、お前は電話にも出ず連絡も取れない。お前に父親の資格があるのか？」

　　陸霆驍の病的なほど青白い顔には感情の欠片も見られず、平静な口調で言った。「お前たちが俺に女を見つけてくれたんだろう。その女たちに面倒を見させればいい」

　　陸崇山は目を見開いた。「このバカ者！人間の言うことか！坊ちゃんは自分の実の息子だぞ。お前が面倒を見ないからって、他人に任せるつもりか？」