第278章 坊ちゃんはいい子

陸家の古い屋敷。

　　夕暮れ時、空の夕焼けの下、坊ちゃんはイーゼルの前で動かずに座っていた。小さな姿がとても孤独で哀れに見えた。

　　「坊ちゃん！ご飯よ！おばあさまが坊ちゃんの大好きな松鼠桂魚を作ったわよ！坊ちゃん……坊ちゃん？」

　　陸おばあさまは5、6回呼んでようやく、坊ちゃんは反応を示した。

　　小さな坊ちゃんは丁寧にイーゼルを片付け、午後ずっと見ていた方向をもう一度じっと見つめてから、おとなしく家に入った。

　　食卓には、たくさんの料理が並んでいた。様々な種類の中華料理と洋食が揃っていた。

　　「坊ちゃん、たくさん食べてね！これ全部坊ちゃんの好物よ！」

　　「そうだよ、たくさん食べなさい！ほら、おじいちゃんが取り分けてあげるよ！」

　　坊ちゃんは無表情で食卓の料理を一瞥し、小さな手で箸を取り、一番近くの料理から一切れ取って、頭を下げて黙々と食べ始めた。全く人に促される必要はなかった。

　　坊ちゃんがこんなに素直なのを見て、二人の老人は長くため息をついた。

　　陸おじいさまはこっそり妻を見て言った。「何も問題ないって言っただろう！」

　　その晩、坊ちゃんはいつもより多く食べ、むしろ普段よりも食欲があるように見えた。

　　何事もなく穏やかに3日が過ぎ、陸おじいさまはとても喜び、陸おばあさまもようやく完全に安心した。

　　しかし、その夜……

　　坊ちゃんの部屋から突然、使用人の慌てふためいた叫び声が聞こえた——

　　「旦那様！奥様！大変です！坊ちゃまが……早く来てください！」

　　「何を騒いでいるんだ？何があったんだ？」

　　二人は急いで駆けつけた。

　　そして部屋に入ると、坊ちゃんが腰を曲げて床一面に吐き出しているのを見た。夜に食べたものすべてを吐き出し、まだ胃液を吐き続けていた……

　　陸おばあさまはすぐに優しく背中をさすった。「ああ！坊ちゃん！坊ちゃん、どうしたの？どうして急にこんなに激しく吐いているの！」

　　陸おじいさまは落ち着いた様子を装って言った。「子供のことだよ、たまに吐くこともあるさ。たぶん食べ過ぎただけだ。大げさに騒ぐことはない！」

　　しかし、言い終わるや否や、小さな坊ちゃんの体がくずれ、気を失ってしまった。

　　「坊ちゃん——」陸おばあさまは悲鳴を上げた。