第367章 人それぞれ好みがある

話しているうちに、洋食派と中華料理派の代表者たちが次々と発言し始め、料理に詳しい人だけでなく、詳しくない人でさえも愛国心を持ち出し、議論に加わる人が増えていき、最後には収拾がつかなくなってしまった……

最も困ったのはフェイ・ウィリアムで、彼は両国のハーフだったため、どちらの味方をすべきか分からなかった。

両派が口論を始めるのを見て、タイミングが熟したと判断した席上の寧雪落は、目に一瞬鋭い光を宿し、方雅に催促するような視線を送った。

方雅は寧雪落の視線を受け取り、すぐにその意図を理解して、立ち上がって言い出した——

「どちらが優れているか、その場で対決すれば分かるじゃない？寧夕はそんなに腕があるなら、ダニエル先生まで呼べたんだから、賀信シェフを呼ぶのも簡単でしょう？」

「そうよ！寧夕に頼めばいいわ！一石二鳥じゃない！」

「これで争う必要もなくなるわ。事実は雄弁に勝るものね！」

……

一瞬にして、全員の視線が寧夕に集中した。

寧夕は無表情のまま、何の反応も示さなかった。

寧夕が態度を示さないのを見て、方雅は当然そう簡単には彼女を見逃すわけにはいかず、さらに追及した。「寧夕、どう？あなたが呼んできた人のせいで、みんなが揉めているのよ。このまま見ているだけってわけにはいかないでしょう？」

「そうよ、せっかくのパーティーがこんなことになって、みんな不愉快よ！」

「寧夕にはたくさんの追っかけがいるんだから、一人一人電話すれば、誰か方法を知っている人がいるんじゃない？」

……

小桃ちゃんは弱々しく寧夕の服の端を引っ張り、「夕ねえさん、その賀信先生、あなたの追っかけの人に頼んで呼んでもらえないかな？」

その声を聞いて、寧夕は小桃ちゃんを一瞥し、彼女にサクランボを一つ渡しながら、淡々と言った。「小桃ちゃん、好みは人それぞれよ。人参が好きな人がいるからって、白菜が劣っているってことにはならないでしょう。他の人が好きなら、その人たちに頼めばいい。私たちは楽しく食べられればそれでいいの！」

「あぁ……」小桃ちゃんは半分理解したような様子で、寧夕の言葉の意味を完全には理解していなかったものの、頷いた。よく考えてみれば、自分も先ほど大きな口を叩きすぎたと思った。賀信といえば、どれほどの人物か。華國の料理界では蔡奉賢先生に次ぐ存在なのに、呼べると思ったなんて？