第350章 朕はお前のためにこの天下を手に入れよう

小桃ちゃんは彼女がショックを受けて立ち直れないと思い、そばで焦って右往左往していたが、どうすることもできず、林芝芝の言いつけ通り、普段通りに振る舞い、状況を見て行動するしかなかった。

今日の主役と注目の的は間違いなく寧雪落なので、林芝芝の寧夕に対する今日唯一の要求は「安定」という一文字だけだった。

そこで寧夕は派手すぎず上品なメイクをし、シャンパンゴールドのシャネル秋冬オートクチュールのイブニングドレスを着て出かけた。

クランクアップパーティーの会場は帝都唯一の六つ星ホテルだった。

寧夕が到着した時はまだ早く、忙しそうにセッティングをするスタッフたちの姿だけが目についた。赤いバラやハート型の風船があちこちに飾られており、プロポーズの準備だということは目が見えない人でもわかるはずだった。

その他にも、ホテルには取引先やファン、友人からのギフトや花かごが山積みで、足の踏み場もないほどだった。

寧夕は軽く目を通し、片隅に「寧夕グローバルファン後援会」と書かれた花かごを見つけ、瞳が温かみを帯びた。

彼女にも後援会ができたのだ……

寧雪落や趙思洲たちが受け取ったプレゼントに比べれば取るに足らないものだったが、それでも彼女はとても嬉しかった。

しかし、傍らの小桃ちゃんは落胆を隠せず、こんなにわずかなプレゼントしかないなんて、あまりにも寂しすぎる!後で記者たちが見たら、どんな記事を書くかわからない!と心配していた。

ああ、以前冷曼雲の下で働いていた時は、クランクアップパーティーのたびにプレゼントが山のように積まれていたのに。

今度は一緒に大恥をかくことになりそうだ。寧雪落のようなレベルの人たちに見下されるなんて。仲間たちがどんどん出世していく中で、自分だけが羨ましがられる頂点から谷底に落ちてしまった。考えるだけで胸が痛む……

そのとき、後ろから方雅たちがどやどやとやってきて、次々と感嘆の声を上げた。

「わぁ!会場の装飾が素敵!まるで夢みたい!」

「これってどれだけお金かかったんだろう!ホテル全館貸し切りだけでも法外な値段でしょ!ホテルは儲かりまくりね!」

「そんなこと言って。人気絶頂の女神様と帝都一の御曹司のロマンチックな愛の誓い。こんな話題性バツグンのビッグニュースなら、ホテルだって宣伝効果抜群でしょ。むしろ願ったり叶ったりよ!」

……