第521章 小さな「夕暮れ石」

寧夕は突然何かを思い出したように、少し不思議そうに言った。「あれ、尚澤、さっきあなたたち二人はこんなに近くにいたのに、その戴威さんは私たちの方を見たのに、どうしてあなたのことが分からなかったの?」

この時、宮尚澤の顔の暗さはすでに徐々に消えていた。寧夕の質問を聞いて、少し照れくさそうに答えた。「実は、私自身は服飾デザイナーですが、毎日図面を描くことに没頭していて、社交的なことは全部戴威が対応していたので、自分の身なりにはあまり気を使っていなくて、だから...だから...乞食になる前でさえ、見た目はあまり良くなかったんです...」

「プッ...なるほどね!あなたはデザイン界の異端児ね!」寧夕は笑いを漏らした。

デザイナーなら誰もが自分の外見に気を使うものなのに、この人は自分を乞食のような姿にしてしまうなんて...

寧夕は軽く咳払いをして、浮かんだ思考を引き戻し、隣のイケメンを細かく観察して注意を促した。「でも、これからはこんなことはダメよ。良い精神状態の方が創作活動にもプラスになるでしょう?一番重要なのは、こんなに良い素材があるのに、それを台無しにしているのよ!あの戴威を見てよ、あんなに着飾って、女性以上に濃い化粧をして、カラコンまでして、髪にはワックスをてかてかになるまでつけているのに、あなたの半分も格好良くないわよ!」

宮尚澤は彼女の言葉に少し照れて、「社長、大げさすぎます!」

寧夕は眉を上げて言った。「大げさじゃないわよ。私の言うことを信じないなら、そのうちあなたに熱狂的な女性ファンが大勢できた時に分かるわよ!」

ふふん、これは大魔王さえも嫉妬するような容姿なのよ、私は少しも大げさに言っていないわ。

彼のデザインの才能がなければ、芸能界にスカウトしたいくらいだわ。

「そうそう、金頂獎って何?すごいの?」寧夕は好奇心を持って尋ねた。

「はい、国内で最も権威のある服飾デザイン賞だと思います。今、応募締め切りまであと半月ですから、時間は厳しいですが、社長、挑戦してみたいんです!」宮尚澤は決意に満ちた眼差しで請願した。

「参加したいの?もちろんいいわよ!私に手伝えることがあったら、全力でサポートするわ!」寧夕は宮尚澤の肩を叩きながら言った。

「ありがとうございます、社長!そのお言葉だけで十分です!」