第525章 皇太子が小閻魔さまに変身

坊ちゃまがエレベーターの前で焦っているのを見て、すぐに美しい女性社員が親切に近づき、とても優しい声で「坊ちゃま、上の階に行かれますか、それとも下に行かれますか?エレベーターのボタンを押させていただきます!」と声をかけました。

坊ちゃまは眉をひそめて考えました。小夕おばさんはもう下にいるはずで、もしかしたらエレベーターを待っているかもしれません。この時エレベーターに乗って、小夕おばさんとすれ違ってしまったらどうしよう?

うーん、焦るけど、ここで待っていた方がいいかな!

そこで、小さな坊ちゃまは一言も発せず、静かにエレベーター前で待ち続けました。

隣にいる女性社員のことなど、今は小夕おばさんのことで頭がいっぱいで、実は彼女の存在にまったく気付いていませんでした。まして彼女の言葉など耳に入っていませんでした。