マスクをした女性がエレベーターから出た瞬間、先ほどまで小閻魔さまのように無表情だった若君の冷たい小さな顔が、まるで春が訪れたかのように、ピンク色の花のつぼみで満開となり、ポンポンと次々と咲き誇り、短い両腕を広げ、愛らしい表情で小さな頭を上げ、抱っこをせがむような姿勢に……
恐ろしい小閻魔さまから突然可愛らしい生き物に変わった若君を見て、ほとんどすべての社員が呆然としていた。「……」
寧夕がエレベーターを出て前に進もうとした時、頭を下げると死ぬほど可愛い小包子ちゃんがエレベーター前で待っているのを見て、もちろん抵抗できるはずもなく、すぐに身を屈めて小包子ちゃんを抱きしめ、マスク越しに頬にキスをした。「坊や、私を待っていたの?」
小包子ちゃんは小夕おばさんの首に腕を回し、小夕おばさんの香り高く安心できる匂いを嗅ぎながら、ピンク色の頬を赤らめ、唇を結んで、とても愛らしく頷いた。
現場で頭が真っ白になって呆然としている社員たち:「……」
この展開があまりにも急すぎて、まったくついていけない……
寧夕は小包子ちゃんを抱き上げ、「パパのお仕事終わった?見に行ってみましょうか?」
せっかく来たのだから、小包子ちゃんを抱いたまま帰るわけにはいかず、やはり彼の父親に挨拶をしなければならない。
小包子ちゃんは小夕おばさんにすぐにでも連れ去られて二度と戻らないことを願っていたが、もちろん小夕おばさんの言葉を拒むことはできず、相変わらず素直に頷いた。
小夕おばさんの言うことは何でも正しい!
寧夕は微笑みながら小包子ちゃんの頭を撫で、社長室へと向かった。
道中、周りの熱い視線を感じ取り、マスクをしていて良かったと心の中で安堵した……
二人が入るや否や、後ろの人々は騒然となった……
「ああ!なんてこと!若、若君がこんなに可愛いなんて!」
「若君は陸社長と同じように冷たい性格だと思っていたのに!まさかこんなに可愛いなんて!さっき笑顔で手を広げて抱っこをせがんでいた時、私の心臓が溶けそうだった!」
「私にこんな可愛い息子がいたら、空の星を欲しがっても取ってあげるわ!」
「いい加減にしなさいよ!鏡見てみなさい、そのごつい顔で、そんないい遺伝子があるわけないでしょ!」