時間が遅くなっているのに気づくまで、寧夕はようやく我に返った。「あっ、霆驍さん、仕事に遅れそうじゃない?」
「大丈夫、まだ早いよ。今日は宮尚澤と物件を見に行くんだよね?これは僕が選んだ適切な場所だから、参考にしてください」陸霆驍はそう言いながら、彼女にファイルを渡した。
「こんなに早く準備できたの?」寧夕は大魔王の仕事の効率に驚いた。
「そんなに時間はかからなかった」彼女のことは常に最優先だから、当然早かった。
「ありがとうございます!!!」陸霆驍が用意した各エリアの詳細な分析と比較を見て、寧夕は心が落ち着いた。
その後、彼女は小包子ちゃんに目をやり、突然困った表情を浮かべた。「えっと...今日は物件を見に行くんだけど、小包子ちゃんはどうしよう?他のことならいいけど、今日は走り回らなきゃいけないし、疲れるから、一緒に連れて行くのは良くないわ!」
小包子ちゃんはそれを聞いて、すぐに見捨てられそうな表情を浮かべた。
「袁おじさんに電話して来てもらおう」陸霆驍が言った。
小包子ちゃんはパパを睨みつけ、寧夕の服をさらにしっかりと掴んだ。いやだ!
寧夕は躊躇いがちな表情で、小包子ちゃんを一人でここに置いていくのは、世話をする人がいても、やはり忍びなかった。
陸霆驍は彼女の心配を察し、携帯を置いて、こう言った。「それとも、僕が会社に連れて行って、あなたが用事が終わったら迎えに来る?」
「うーん...」パパと一緒なら、少しは安心できる!
寧夕は少し考えた後、かがんで優しく小包子ちゃんに話しかけた。「坊ちゃん、本当にごめんなさい。おばさんは今日どうしても用事があるの。ここでおばさんが帰ってくるのを待つ?それともパパと会社に行く?」
どちらも選びたくなかった。小夕おばさんと一緒にいたい!疲れなんて平気!でも...小夕おばさんの邪魔になりたくない...小夕おばさんを疲れさせたくない...
小包子ちゃんは長い間悩んだ末、しぶしぶとパパの方を見た。これは陸霆驍と会社に行くことを選んだということだった。
なぜなら、そうすることでパパと小夕おばさんが一緒にいる機会を作れるから。
本当はそうしたくなかったけど、仕方ない。パパと同盟を組んでいるんだから、小夕おばさんといつも一緒にいられるようになるには、やっぱりパパの力が必要だ。